猫のサッキング行動を徹底解説！原因から対策まで

「愛猫が布を吸う」「毛布をチュパチュパする」といった行動を見たことがありませんか？

これは「サッキング」と呼ばれる行動です。

今回は猫のサッキング行動について、その原因や対策を詳しく解説していきます。

サッキングとは？

サッキングとは、猫が布や毛布などを吸ったり、舐めたり、噛んだりする行動のこと。子猫が母猫のお乳を吸う行動に似ていることから、このように呼ばれています。

なぜ吸っちゃうの？猫がサッキングする理由

サッキングをする理由は様々ですが、主な原因としてストレスや不安、退屈、栄養不足などが挙げられます。

また、子猫時代に母猫から早く離されすぎた場合に見られることもあります。

どんなものを吸うの？猫が好む素材

猫がサッキングする対象は、毛布やタオル、ぬいぐるみなど様々です。

特に、ウールやフリースのような柔らかい素材を好む傾向があります。

サッキングの原因を探る

猫がサッキング行動をする原因は、実はとても複雑で、まだ完全には解明されていません。

様々な要因が考えられており、それらを理解することで愛猫のサッキング行動の背後にある本当の理由が見えてくるかもしれません。

早期の離乳

最も有力な原因の一つとして考えられているのが、子猫時代に母猫から早く離れすぎたことです。

本来、子猫は母猫のお乳を吸うことで栄養を摂取し、安心感を得ています。

しかし、生後間もなく母猫から引き離されると、その欲求が満たされず、代わりに布や毛布などを吸うことで安心感を得ようとするという説があります。

• 目安: 一般的に、生後8週間までは母猫と一緒に過ごすことが推奨されています。
• 影響: 早期の離乳は、サッキングだけでなく、社会性や情緒の発達にも影響を与える可能性があります。

ストレス

猫は環境の変化やストレスに非常に敏感な動物です。

様々なストレスがサッキング行動の引き金になることがあります。

• 環境の変化: 引っ越し、新しい家族が増える、家具の配置換えなど、環境の変化は猫にとって大きなストレスになります。
• 生活の変化: 食事時間の変更、トイレの場所の変更、留守番時間の増加など、生活の変化もストレスの原因となります。
• 社会的なストレス: 多頭飼いの場合、他の猫との関係性や縄張り争いなどがストレスになることがあります。
• 騒音: 大きな音なども、猫にとってストレスになります。
• 飼い主の不在: 飼い主の留守時間が長かったり、飼い主との触れ合いが少ないと、猫は不安や寂しさを感じ、ストレスをためてしまうことがあります。
• 病気: 病気や怪我による痛みや不快感も、ストレスの原因となります。

栄養不足

食事内容が偏っていたり、必要な栄養素が不足していると、猫はサッキング行動をすることがあります。

特に、タンパク質や特定のミネラルの不足が指摘されています。

• 低品質なキャットフード: 必要な栄養素が不足しているキャットフードを与えていると、栄養不足に陥りやすくなります。
• 偏った食事: 同じ種類のキャットフードばかり与えていると、特定の栄養素が不足する可能性があります。
• 手作り食: 栄養バランスを考慮せずに手作り食を与えていると、栄養不足になる可能性があります。

退屈

室内で飼育されている猫は、屋外で飼育されている猫に比べて運動不足や刺激不足になりがちです。そのため、退屈しのぎにサッキング行動をすることがあります。

• 運動不足: 十分な運動ができないと、ストレスが溜まり、サッキング行動に繋がることがあります。
• 刺激不足: 猫は好奇心旺盛な動物なので、常に新しい刺激を求めています。刺激不足はストレスとなり、サッキング行動の原因となることがあります。

その他の要因

• 特定の素材への嗜好: 特定の素材の匂いや感触を好んでサッキングする猫もいます。
• 病気: 甲状腺機能亢進症や認知症など、特定の病気がサッキング行動を引き起こすことがあります。
• 分離不安: 飼い主と離れることに強い不安を感じ、サッキング行動をする猫もいます。

愛猫のサッキング行動の原因を探るには、日々の生活をよく観察し、上記の要因と照らし合わせて考えることが重要です。

原因が特定できれば、それに合わせた対策を講じることができ、サッキング行動を軽減できる可能性が高まります。

サッキングの危険性

猫のサッキング行動は、一見無害に見えるかもしれません。

しかし、場合によっては猫の健康や安全を脅かす危険性も潜んでいます。

愛猫を守るためにも、サッキングの危険性についてしっかりと理解しておきましょう。

誤飲による消化器系のトラブル

猫が布や毛布などを噛みちぎって飲み込んでしまうと、消化管に詰まり、様々な消化器系のトラブルを引き起こす可能性があります。

• 腸閉塞: 飲み込んだ布などが腸に詰まってしまう状態。嘔吐、食欲不振、便秘、腹痛などの症状が現れます。重症の場合は、手術が必要になることもあります。
• 胃腸炎: 飲み込んだ異物が胃や腸を刺激し、炎症を起こす状態。嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れます。
• 消化不良: 布などは消化できないため、消化不良を起こし、栄養吸収を阻害する可能性があります。

口腔内のトラブル

サッキングによって、歯や口の中に傷を負ってしまうことがあります。

• 歯の破損: 布などを強く噛むことで、歯が欠けたり、折れたりする可能性があります。
• 歯肉炎: 歯茎が炎症を起こし、腫れや痛み、出血などの症状が現れます。
• 口内炎: 口の中に炎症が起こり、痛みや食欲不振などの症状が現れます。

感染症のリスク

口の中に傷があると、そこから細菌が侵入し、感染症を引き起こすリスクが高まります。

• 口腔内感染症: 口腔内に細菌が感染し、炎症や痛み、膿などを引き起こします。
• 全身感染症: 口腔内の感染症が全身に広がり、発熱や倦怠感などの症状が現れます。

異物による中毒

猫がサッキングする対象物によっては、中毒を引き起こす可能性もあります。

• 化学物質: 布製品に含まれる染料や防虫剤など、猫にとって有害な化学物質を摂取してしまう可能性があります。
• 植物: 観葉植物など、猫にとって有毒な植物を噛んでしまう可能性があります。

精神的なストレス

サッキング行動を無理にやめさせようとすると、猫に精神的なストレスを与えてしまう可能性があります。

行動制限

サッキング行動を制限するために、猫をケージに入れたり、常に監視したりする必要がある場合は、猫の行動範囲や自由を制限することになり、ストレスの原因となる可能性があります。

サッキングの危険性を理解した上で、愛猫の様子をよく観察し、適切な対策を講じるようにしましょう。

少しでも異変を感じたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

サッキングへの対策

猫のサッキング行動の原因は様々なので、対策も多岐に渡ります。

愛猫の様子をよく観察し、原因に合わせた対策を講じるようにしましょう。

快適な環境でストレス軽減

猫がストレスを感じにくい、快適な環境を作ることはサッキング対策の基礎となります。

• 十分なスペースの確保: 猫が自由に動き回れるよう、十分なスペースを確保しましょう。
• 隠れ家の設置: 猫が安心できる隠れ家を用意してあげましょう。段ボール箱やキャットハウスなどがおすすめです。
• 高さを活用: 猫は高い場所を好むため、キャットタワーを設置するなど、上下運動ができる環境を作ってあげましょう。
• 爪とぎの設置: ストレス解消に役立つ scratching post を設置しましょう。材質や形、設置場所など、猫の好みに合わせて選びましょう。
• 窓辺の活用: 猫は窓の外を眺めるのが好きなので、窓際に休憩スペースを作ってあげましょう。ただし、網戸は破れる可能性があるので、しっかりと対策をしておきましょう。
• 安心できる空間: 静かで落ち着ける空間を作ってあげましょう。急な動きを避け、猫がリラックスできる環境を整えましょう。
• 多頭飼いの場合は注意: 猫同士の関係性が悪化すると、ストレスの原因になります。それぞれの猫が安心して過ごせるよう、十分なスペースを確保し、個別の食事場所やトイレを用意するなど配慮しましょう。

遊びで気を紛らわせる

猫と遊ぶ時間を増やすことは、ストレス解消に繋がり、サッキング行動を減らす効果も期待できます。

• インタラクティブな遊び: 猫じゃらしやレーザーポインターなどを使って、猫と一緒に遊びましょう。狩猟本能を刺激する遊びは、猫のストレス解消に効果的です。
• おもちゃのローテーション: 同じおもちゃばかりだと飽きてしまうので、様々なおもちゃを用意し、ローテーションで与えるようにしましょう。
• 知育玩具: 知育玩具は、猫の好奇心と狩猟本能を満たし、思考力を養うのに役立ちます。

食事内容を見直す

栄養バランスの取れた食事は、猫の健康維持に欠かせません。

サッキングの原因が栄養不足である可能性も考えられるため、食事内容を見直してみましょう。

• バランスの取れたキャットフード: 高品質なキャットフードを選び、必要な栄養素をバランス良く摂取できるようにしましょう。
• ウェットフードの活用: 水分不足はストレスの原因となる場合があるので、ウェットフードも取り入れてみましょう。
• おやつの与えすぎに注意: おやつはあくまでおやつなので、与えすぎないようにしましょう。

サッキング対策になるおもちゃを使ってみる

• 噛むおもちゃ: 噛むことで満足感を得られるおもちゃは、サッキングの代替行動として有効です。
• 舐めるおもちゃ: 舐めても安全な素材でできたおもちゃもあります。
• 素材: 猫が好む素材のおもちゃを選ぶことも重要です。

専門家への相談

• 動物病院: サッキング行動が改善されない場合は、動物病院で相談してみましょう。獣医師から適切なアドバイスをもらえます。
• 猫の行動カウンセラー: 猫の行動に詳しい専門家に相談するのも良いでしょう。

その他の対策

• マッサージ: 猫を優しくマッサージしてあげることで、リラックス効果が期待できます。
• サプリメント: 猫のストレス軽減に効果があるとされるサプリメントもあります。

様々な対策を組み合わせることで、より効果的にサッキング行動を軽減できる可能性があります。愛猫の様子を見ながら、根気強く対策を続けていきましょう。

タイプ別のサッキング対策

猫がサッキングする対象物は様々です。対象物別に適切な対策を行うことで、猫の安全を守り、サッキング行動を軽減できる可能性があります。

毛布を吸う猫への対策

• 毛布を片付ける: 猫がサッキングする毛布を手の届かない場所に片付けましょう。
• サッキング対策用のカバーをかける: 市販のサッキング対策用のカバーをかけることで、猫が直接毛布を吸うのを防ぐことができます。
• 素材を変える: ウールやフリースなど、猫が好む素材の毛布を使っている場合は、綿や麻など、猫があまり興味を示さない素材の毛布に変えてみましょう。
• 洗濯の頻度を増やす: 毛布に飼い主の匂いが残っていると、猫は安心感を得てサッキングすることがあります。こまめに洗濯することで、匂いを減らすことができます。
• 代用品を与える: 猫が毛布を吸う代わりに、安全な素材でできたおもちゃやブランケットを与えてみましょう。

タオルを吸う猫への対策

• タオルを片付ける: 猫がサッキングするタオルを手の届かない場所に片付けましょう。
• 素材を変える: 猫がタオルを吸う場合は、タオルの代わりに安全な素材でできた布やマットを与えてみましょう。
• 洗濯方法を変える: タオルを柔軟剤で洗うと、猫がその匂いを好んでサッキングすることがあります。無香料の洗剤を使うか、柔軟剤の使用を控えましょう。
• 濡れたタオルは避ける: 濡れたタオルは猫の唾液で湿り、雑菌が繁殖しやすくなります。サッキング後はタオルをすぐに洗濯するか、乾燥させましょう。

ぬいぐるみを吸う猫への対策

• ぬいぐるみを片付ける: 猫がサッキングするぬいぐるみを手の届かない場所に片付けましょう。
• 綿が出てこないタイプのぬいぐるみを選ぶ: 猫がぬいぐるみを噛みちぎって綿を飲み込んでしまうのを防ぐために、綿が出てこないタイプのぬいぐるみを選びましょう。
• 定期的に点検する: ぬいぐるみが破損していないか定期的に点検し、破損している場合はすぐに交換しましょう。
• 代用品を与える: 猫がぬいぐるみを吸う代わりに、安全な素材でできたボールや噛むおもちゃを与えてみましょう。

壁や床を吸う猫への対策

• 原因を特定する: 壁や床を吸う場合は、ストレスや栄養不足が原因である可能性があります。飼育環境や食事内容の見直しを行いましょう。
• 吸いやすい場所をカバーする: 猫が壁や床を吸う場所を、家具やマットなどで覆いましょう。
• 猫の注意をそらす: 猫が壁や床を吸い始めたら、おもちゃや音で注意をそらし、他の行動に誘導しましょう。
• 忌避剤を使う: 猫が嫌がる匂いの忌避剤を、壁や床にスプレーしてみましょう。ただし、猫の健康に害がないか、事前に確認する必要があります。

これらの対策を試してもサッキング行動が改善されない場合は、動物病院に相談することをおすすめします。

獣医師のアドバイスのもと、猫に合った対策を見つけましょう。

サッキングに関するQ&A