「猫を飼いたいけれど、どの子にしようか」と迷っているなら、一度だけ譲渡会や保護猫サイトでサビ猫を探してみてください。

黒と茶が不規則に混ざり合った毛色。

整っているとは言えない、あの柄。

正直に言えば、初めて見たとき「地味だな」と思う人は少なくないはずです。

でも実際に一緒に暮らしてみると、その印象はだいたい半年以内にひっくり返ります。

「汚い」という誤解はどこから来るのか

サビ猫の毛色は、黒(漆)と赤褐色(茶)がパッチワーク状に混在する「トーティシェル(べっ甲)」と呼ばれるものです。

規則的な縞や水玉とちがって、どこにも対称性がありません。

これがスマートフォンの小さな画面で見ると、色が潰れてのっぺりした印象になりやすいのです。

「地味」「柄が汚い」という言葉がネット上に出回るのは、おそらくそのせいだと思います。

しかし、実物は話がちがいます。

午後の日差しが差し込む窓際で丸くなっているサビ猫を見れば、同じ猫とは思えないほど毛色が複雑に輝きます。

写真映りが悪いというより、写真に収まりきらない猫なのだと思います。

ちなみに英語圏では「Tortoiseshell(亀の甲羅)」と呼び、日本では古くから「厄除け猫」として知られてきました。

オスのサビ猫はXXY染色体という遺伝的な特殊性から生まれる確率が非常に低く(おおよそ数万頭に一頭とされています)、その希少性が神秘的なイメージを強めている面もあります。

サビ猫の性格について正直に書く

「サビ猫は性格がいい」とよく言われます。

これは完全な嘘ではありませんが、少し説明が必要だと思います。

サビ猫の多くは日本在来の雑種猫で、特定の品種に見られる遺伝的な偏りが少ないです。

また、ほぼすべてがメス(オスが生まれる確率が極めて低いため)であることも、性格の落ち着きに関係しているとされています。

ただ、個体差はあります。

人懐っこい子もいれば、距離を置きたがる子もいます。

「性格にハズレがない」というのは言いすぎで、正確には「極端に神経質な子や攻撃的な子が少ない傾向がある」くらいの話です。

それでも保護猫の譲渡に長く関わっている人たちが「サビ猫は穏やかな子が多い」と口をそろえることには、一定の根拠があるとは思います。

我が家のサビ猫(保護猫出身、現在12歳)は、普段はそれほど甘えてきません。

ただ、こちらの様子がいつもとちがうとき——体調が悪いときや、何かに行き詰まっているとき——に限って、近くに来て座っていることがあります。

気のせいかもしれませんが、繰り返されると気のせいとも言いにくくなってくるものです。

譲渡会でサビ猫が最後まで残りやすい理由

これは残念な現実ですが、写真映りの問題が大きいです。

保護猫の多くはSNSや譲渡サイトの写真で最初の印象が決まります。

そこでサビ猫は不利になってしまいます。

譲渡会で実物を見れば印象が変わることも多いですが、そもそも会場まで来る人が「この子に会いに行こう」と思わせる写真を撮るのが難しいのです。

逆に言えば、会場に行ってサビ猫と目が合ったとき、写真では伝わらなかった何かを感じることがあります。

筆者はそれを経験してから飼い始めたクチです。

迎えることを検討しているなら

まず「ペットのおうち」「OMUSUBI」などの譲渡サイトで「サビ猫」と検索して、条件を保存しておくといいと思います。

定期的に通知が来るようになります。

その上で、近くで譲渡会が開かれるタイミングがあれば、一度足を運んでみてください。

サビ猫が複数いるなら、しばらく近くで観察してみることです。

最初の数分でわかることは少ないからです。

「いつか飼いたい」で終わる人は多いですが、現地に一度行くかどうかが分岐点になることが多いものです。

まとめに

サビ猫を飼い始めてから何年か経つ人に「どうですか」と聞くと、たいてい似たような答えが返ってきます。

「最初は地味だと思ったけど、今は他の柄の猫を見てもピンとこない」というやつです。

これを「猫好きの終着駅」と呼ぶ人もいます。

大げさな表現だと思っていましたが、なんとなく言いたいことはわかるようになってきました。