「猫は腎臓病になりやすい」という話を聞いたことがある飼い主さんは多いはずです。

実際、高齢猫の死因の上位を占めるのが慢性腎臓病です。

腎臓は一度壊れると元に戻らない臓器ですが、早期に発見しケアを始めることで、進行を遅らせ、穏やかな時間を長くすることは可能です。

その「早期発見」の鍵を握るのが、毎日の「おしっこチェック」です。言葉を話せない愛猫の代わりに、トイレの変化から体のSOSを読み取ってあげましょう。

Contents
  1. 腎臓病の早期発見に!なぜ「おしっこチェック」が重要なのか
  2. 【色】で見る健康状態:理想の色と要注意な色
  3. 【量と回数】で見極める異変のサイン
  4. 色・量以外にも!飼い主が気づくべき違和感
  5. 異常を感じたら:動物病院へ行く前の準備
  6. まとめ:毎日のトイレチェックが愛猫の「健康寿命」を延ばす

腎臓病の早期発見に!なぜ「おしっこチェック」が重要なのか

猫は「おしっこ」のトラブルが非常に多い動物

猫の祖先は砂漠で暮らしていたため、少ない水で効率よく老廃物を排出できるよう、尿を濃縮する能力が非常に発達しています。

しかし、その分腎臓には常に大きな負担がかかっており、加齢とともに機能が低下しやすいのです。

また、尿が濃いため、膀胱炎や尿路結石(尿石症)といった下部尿路疾患も非常に多い動物です。

「サイレントキラー」腎臓病のサインは尿に現れる

慢性腎臓病は、初期にはほとんど症状がありません。

元気がなくなる、食欲が落ちるといった目に見える症状が出た頃には、すでに腎機能の多くが失われていることが少なくありません。

しかし、尿の変化は比較的早い段階で現れます。

「なんとなく尿の色が薄くなってきた」「トイレの回数が増えた」といった変化は、体の中で起きている静かな異変のサインなのです。

毎日確認!「いつもの量と色」を把握するメリット

異常に気づくためには、基準となる「正常な状態」を知っておく必要があります。

元気な時の「いつものおしっこの色、一回の量、一日の回数」を把握している飼い主さんだけが、小さな変化にいち早く気づき、病院へ連れて行くことができるのです。

【色】で見る健康状態:理想の色と要注意な色

おしっこの色は、尿の濃縮具合や、血が混じっていないかを判断する重要な材料です。

安心なのは「透明感のある黄色〜琥珀色」

健康な猫の尿は、透明感があり、ビールのような黄色から、少し濃い琥珀色をしています。

飲水量やフードによって多少の濃淡はありますが、濁りがなく透き通っていれば基本的には問題ありません。

要注意!「無色透明」は腎機能低下のサイン?

多くの飼い主さんが見逃しやすいのが、この「無色透明」です。「色が薄くて綺麗だから良いことだ」と思いがちですが、実はこれは「尿を濃縮する腎臓の機能が低下している」という、慢性腎臓病の初期サインである可能性が高いのです。

水を飲む量が増え、水のように薄いおしっこを大量にする場合は、早めに獣医師に相談してください。

緊急事態!「赤・ピンク(血尿)」や「キラキラした濁り」

尿が赤っぽい、ピンク色、あるいは茶褐色に見える場合は「血尿」です。

膀胱炎、尿路結石、腫瘍などの可能性があります。

また、尿が白く濁っていたり、光に当てるとキラキラ光る砂のようなものが混じっていたりする場合は、尿路結石の結晶が出ているサインです。

これらは痛みを伴うことが多く、緊急性が高いため、すぐに病院へ行きましょう。

濃いオレンジや茶色:肝臓や脱水の可能性

いつもより明らかに色が濃く、濃いオレンジ色や茶色に見える場合は、脱水症状を起こしているか、肝臓の病気(黄疸)の可能性があります。

こちらも早めの受診が必要です。

【量と回数】で見極める異変のサイン

おしっこの量と回数も重要なバロメーターです。猫の平均的な排尿回数は、1日2〜4回程度が目安です。

塊が大きくなった?「多尿」と水分摂取量の関係

固まるタイプの猫砂を使っている場合、おしっこの塊が以前より明らかに大きくなったり、トイレシートがすぐにずっしりと重くなったりする場合は「多尿」です。

「たくさん水を飲み、薄い尿をたくさん出す(多飲多尿)」は、腎臓病や糖尿病の代表的なサインです。

塊が小さい・何度もトイレに行く「頻尿」のリスク

「さっきトイレに行ったばかりなのに、また行っている」「トイレに行く回数は多いけれど、塊がとても小さい(ポタポタとしか出ていない)」 これは「頻尿」の状態です。

膀胱炎による残尿感や痛みで、一度に出し切れていない可能性があります。

全く出ていない(尿閉)は一刻を争う緊急事態!

最も危険なのが、トイレに行ってもおしっこが全く出ていない状態(尿閉)です。

結石などが尿道に詰まってしまうと、尿毒症を引き起こし、短時間で命に関わる状態に陥ります。

半日以上おしっこが出ていない場合は、夜間でも救急病院へ連絡してください。

システムトイレでの「正確な尿量チェック」のコツ

システムトイレ(スノコの下にシートを敷くタイプ)は、砂で色が分かりにくくなることがなく、シートで量も把握しやすいのでおすすめです。

トレーに直接目盛りがついたコップなどを置いて尿を受ければ、正確な量を測ることもできます。

色・量以外にも!飼い主が気づくべき違和感

臭いの変化:ツンとするアンモニア臭や甘い臭い

猫の尿はもともと独特の臭いがありますが、いつもより鼻をつくようなアンモニア臭が強い場合は細菌感染(膀胱炎)の疑いがあります。

逆に、甘酸っぱいような臭いがする場合は、糖尿病のケトン尿の可能性があります。

トイレ以外での粗相:痛みの訴えやストレスかも

きちんとトイレができる子が、急に布団やソファで粗相をする場合、単なるしつけの問題ではありません。

「トイレでおしっこをすると痛いから行きたくない(膀胱炎など)」という痛みの訴えや、環境の変化による強いストレスが原因であることが多いです。

排尿時のポーズや鳴き声:力んでいる様子はありませんか?

  • トイレの中でずっとうずくまっている
  • 排尿中に「ウー」「ニャー」と悲痛な声で鳴く
  • 背中を丸めて力んでいるのにおしっこが出ていない

これらは強い痛みを感じているサインです。すぐに対応が必要です。

異常を感じたら:動物病院へ行く前の準備

尿を持参する方法:スポイトやウレパール(採尿器)の活用

尿検査は痛みを伴わず、多くの情報が得られる非常に有効な検査です。

受診の際は、できるだけ新鮮な尿を持参しましょう。

  • システムトイレのトレーを綺麗に洗って尿を受ける。
  • 排尿中に後ろからそっと採尿器(ウレパールなど)や綺麗なお玉を差し入れる。
  • ペットシーツを裏返して(吸水しない面を上にして)トイレに敷き、溜まった尿をスポイトで吸い取る。

「いつから・どう変わったか」を伝えるメモの重要性

「いつ頃から、色や量がどう変化したか」「食欲や元気はあるか」などをメモしておくと、診断がスムーズに進みます。

まとめ:毎日のトイレチェックが愛猫の「健康寿命」を延ばす

猫のおしっこチェックは、少し手間に感じるかもしれません。

しかし、その数秒の確認が、愛猫の病気の早期発見に繋がり、結果として一緒に過ごせる幸せな時間を延ばすことになります。

「今日の健康状態はどうかな?」と、愛猫と会話するような気持ちで、毎日のトイレチェックを習慣にしていきましょう。