猫がちょこんと座っている姿は、見ているだけで癒やされますよね。
特に前足を体の下にきれいに折りたたんで座っている姿は、「香箱座り(こうばこずわり)」とよばれ、猫好きさんの間ではおなじみの可愛いポーズです。
まるで箱のような形に見えるこの座り方、猫はどうしてするのでしょうか?
リラックスしているの? それとも何か他の意味があるの?
この記事では、猫の「香箱座り」の意味や理由、そしてそのポーズから読み取れる猫の気持ちについて分かりやすく解説していきます。
猫の「香箱座り」ってどんなポーズ?その名前の由来は?
まずは、「香箱座り」がどんな座り方で、なぜそうよばれるのかを見ていきましょう。
前足をきゅっと折りたたむ可愛い座り方
香箱座りは、猫が前足を胸の下あたりに、内側に折りたたんで座るポーズのことです。
後ろ足は体の下で見えなくなっていることが多く、前から見ると、まるで四角い箱のように見えます。
しっぽは体に巻き付けていたり、体の下にしまっていたりすることが多いです。このちょこんとした姿が、なんとも愛らしいですよね。
なぜ「香箱」?名前の由来と意味を探る
この座り方の名前についている「香箱(こうばこ)」とは、昔使われていた、お香(お線香など、火をつけて香りを楽しむもの)や、香りをつけるための道具を入れておくための蓋付きの箱のことです。
猫が前足を折りたたんで座っている姿が、この香箱の形に似ていることから、「香箱座り」とよばれるようになったと言われています。
きれいに手足をしまって、じっとしている様子が、たしかに上品な箱のように見えますね。
英語ではなんて言うの?(例:Cat Loaf)
ちなみに、英語ではこの座り方を “Cat Loaf”(キャットローフ)とよぶことが多いです。”Loaf” は、パンのひとかたまり(食パンなど)を意味する言葉です。
猫が香箱座りをしている姿が、オーブンで焼かれたパンの塊のように見えることから、こうよばれるようになったようです。国が違っても、あの形を何かに例えたくなるのは同じなのですね。
なぜ猫は香箱座りをするの?隠された5つの理由
では、猫はどうして香箱座りをするのでしょうか? その理由を探ってみましょう。
理由1:リラックスしているサイン
香箱座りをしている時、猫はとてもリラックスしています。
前足を体の下にしまっているので、何かあってもすぐに立ち上がって動き出すことができません。
つまり、「今はすぐに動く必要はないな」「ここは安全だな」と感じている時に、このポーズをとるのです。
安心しきっている証拠と言えるでしょう。
理由2:安心できる場所にいる証拠
リラックスしていることと似ていますが、香箱座りは、猫がその場所に安心感を抱いている証拠でもあります。
周りに敵がいない、危険がない、と確信しているからこそ、すぐに動けない体勢でくつろぐことができるのです。
飼い主さんのそばや、お気に入りの暖かい場所などでよく見られます。
理由3:すぐに動く必要がない時の省エネモード
猫はもともと狩りをする動物ですが、獲物を待ったり、休んだりする時間も長いです。
香箱座りは、前足を折りたたむことで体の熱が逃げるのを防ぎ、筋肉を休ませることができる、いわば「省エネモード」のような状態です。
特に緊急で動く必要がない時に、体力を温存するためにこの座り方をしていると考えられます。
理由4:寒い時に体温を保つため
寒い季節や、少し肌寒い場所にいる時にも、香箱座りをすることがあります。
前足や後ろ足を体の下にしまい込むことで、体表面から熱が逃げるのを最小限に抑え、体を温かく保とうとしているのです。
猫なりに暖をとっているのですね。
理由5:前足のケガや痛みを隠している場合も?(要注意)
ほとんどの場合はリラックスしているサインですが、ごくまれに、前足にケガをしていたり、痛みがあったりする場合に、それをかばうように香箱座りをすることがあります。
もし、いつもと様子が違う、特定の足だけを気にしている、触られるのを嫌がる、元気がないなどの変化が見られる場合は、注意が必要です。
心配な時は、動物病院に相談しましょう。
いろんな香箱座り!ちょっと変わったバリエーション
一口に香箱座りと言っても、よく見ると個性があります。いくつか例を見てみましょう。
きっちり完璧な「模範的香箱」
前足が左右対称(さゆうたいしょう)に、きれいに体の下に折りたたまれていて、背筋もすっと伸びている、まさに「お手本」のような香箱座りです。
猫のきちょうめんな性格が出ているのかもしれません。
片手がちょっと出ちゃう「おしい!香箱」
片方の前足だけ、少し体の外にはみ出してしまっている座り方です。
完全にリラックスしきってはいないけれど、まあまあ安心している、といった状態でしょうか。なんだか人間味があって可愛いですね。
スフィンクスみたい?「なんちゃって香箱」
前足は前に伸ばしたまま、肘(ひじ)から先だけを少し内側に曲げているような座り方。
エジプトのスフィンクス像に似ていることから、「スフィンクス座り」ともよばれます。
香箱座りの準備段階や、少しだけ警戒している時に見られることもあります。
寝落ち寸前?「とろける香箱」
香箱座りをしていたはずなのに、だんだん眠くなってきて体が崩れてきている状態。
顔が床についてしまったり、体が斜めになってしまったり…。リラックスしすぎているのが伝わってきて、思わず笑みがこぼれます。
香箱座りから読み解く猫の気持ちと健康状態
可愛い香箱座りですが、そこから猫の気持ちや健康状態を読み取るヒントも隠されています。
香箱座りは信頼の証?
はい、多くの場合、香箱座りは安心と信頼の証です。
特に飼い主さんの目の前でこのポーズをとる時は、「あなたのそばは安全で落ち着くよ」というメッセージを送ってくれていると考えて良いでしょう。
リラックス度が高いほど完璧な香箱に?
必ずしもそうとは限りませんが、一般的には、周りの状況に安心し、リラックス度が高いほど、前足をきれいにしまい込んだ完璧な香箱座りになりやすいと言われています。
逆に、少しだけ警戒していたり、周りの様子をうかがっていたりする時は、足が少し出ていたり、すぐに立てるような体勢に近かったりすることもあります。
いつもと違う座り方や頻度の変化に注意
普段よく香箱座りをする子が急にしなくなったり、逆にいつもはしない子がずっと香箱座りをしていたり、座り方がいつもと明らかに違う(例えば、片足だけをかばうような座り方)場合は、体調が悪い、どこか痛いなどのサインかもしれません。
他の様子(食欲、元気、排泄など)と合わせて、注意深く観察してあげてください。
香箱座りをしないのはなぜ?考えられる理由
なかには、あまり香箱座りをしない猫もいます。これは、単にその子の座り方の癖であったり、性格的にあまり体を丸めないタイプだったり、あるいは関節(かんせつ)などに違和感があってその体勢がとりにくい、などの理由が考えられます。
香箱座りをしないからといって、必ずしもリラックスしていない、飼い主さんを信頼していない、ということではありません。
もっと見たい!愛猫の可愛い香箱座り
あの可愛い香箱座り、できることならたくさん見たいですよね。
猫がリラックスできる環境づくり
猫が安心して香箱座りをしてくれるためには、猫が心からリラックスできる環境を整えてあげることが大切です。
- 安全な隠れ場所: 静かで落ち着ける、自分だけの場所(ベッドや箱など)を用意する。
- 暖かい場所: 日当たりの良い窓辺や、暖かい毛布の上など、快適な温度の場所を作る。
- 静かな環境: 大きな物音や、人の出入りが激しい場所を避ける。
- 飼い主さんとの信頼関係: 無理強いせず、猫のペースに合わせて優しく接する。
香箱座りを見守る時の注意点(邪魔しないのが基本)
猫が気持ちよさそうに香箱座りをしている時は、そっと見守ってあげるのが一番です。
リラックスしている最中に、急に大きな声を出したり、無理に触ろうとしたりすると、猫を驚かせてしまいます。
写真を撮る時も、フラッシュは使わず、静かに行いましょう。猫の穏やかな時間を、邪魔しないように心がけることが大切です。
まとめ:香箱座りは猫からの安心メッセージ
猫の「香箱座り」は、前足を折りたたんで箱のように座る、とても可愛らしいポーズです。
その理由は、リラックスしている、安心している、体温を保ちたい、など様々ですが、基本的には猫が穏やかな気持ちでいる時のサインと捉えて良いでしょう。
ただし、まれに体調不良のサインである可能性もあるため、普段の様子と違う点がないか、気にかけてあげることも大切です。
香箱座りをしている猫を見かけたら、それはあなたやその場所に安心感を抱いている証拠かもしれません。
そっと優しく見守り、猫が送ってくれる「安心メッセージ」を受け取って、より良い関係を築いていってくださいね。