通勤ラッシュ時の電車内が苦手です。のりをです。
そんな電車内で急に腹痛に襲われたことありますか?
ありますよね?
僕はめちゃくちゃあるんですけど、大阪市内に住んでいて通勤に地下鉄を使っていたときは駅と駅の間が短いこともあり、お腹が痛くなったら目的の駅でなくても降りてトイレに行くってことができました。
それに乗車時間が10分くらいだったんで、まぁお腹弱いけど安心だったんです。
そんな僕が大阪から奈良に引っ越しちゃったんですよ。
あ、先にこの記事の内容を簡単にまとめときますね。
おっさんが電車の中で漏らしかけた話
一応言うておきますがセーフやった話ですからね。
朝の電車内は戦場
奈良に引っ越してからは近鉄大阪線と大阪メトロを乗り継いで出社という形になりました。
引っ越すと通勤に1時間ほどかかるようになって、電車の乗車時間も40〜50分乗らないといけなくなったわけです。
しかも通勤する時間も距離がある分、早くなります。
奈良に引っ越してからはじめのうちは、めちゃくちゃお腹の状態に注意して電車に乗っていたんです。
お腹弱いのは小さい頃からなのでなんとなく波が読めるんですよね。
「今日はお腹の機嫌が悪そうだからちょっと早めに家を出よう」とか、「とりあえず薬のんどくか」とか事前に対策ができるんですよ。
なので引っ越してから半年くらいはまるで問題なく大阪まで行けてました。
ただ、あの日は本当にどうかしていたんだと思います。(←なんか歌詞っぽい)
トイレに寄らずに電車に駆け込んだのが悲劇の始まり
あれは忘れもしない2018年8月17日(金)。
その日は朝からお腹の調子が良くなく、出勤前にトイレに行こうとしましたが時間がありませんでした。
だから、もしも駅に着いたときにお腹がもやもやするようなら、遅刻してでもトイレに寄ってから電車に乗ろうと思ってました。
ただ、駅に着いたときの僕は、トイレに寄ろうと思っていたことを忘れてしまったのです。
むしろ、あと2分で発車してしまう電車に向かって何も考えずにダッシュしていました。
夏休みだからか、小さな子どもを連れたファミリーがいました。お盆休みを利用してどこか遊びに行くのでしょうね。楽しそうでした。
僕は扉近くの座席の前につり革を持って立っていました。
そして、近鉄大阪線の五位堂駅を出発したときくらいでした。
ギュルルルルッ!っと僕のお腹が鳴り始めたのです。
このときにようやく僕は、トイレに行こうとしていたことを思い出すのです。
致命的な物忘れです。
僕はこのとき急行に乗っていると思っていましたので、次の駅まで10分もかからないからギリギリいけるだろうと考えていました。
お腹が痛くて電車に乗っているときは、ほんの1〜2分でも永遠を感じる長さです。
なにも考えないようにしてもお腹は「ヤバいぞ!早くしろ!」って信号を送り続けてくるし、スマホでニュースでも見て気を紛らわそうとしても、お腹からのビッグニュース以上のタイムリーな情報はないのです。
そんな中、車内放送でさらに追い討ちをかけられることになります。
「この電車はぁ〜快速急行ぅ〜大阪ぁ〜上本町行きです」(←うろ覚えです)
なんと乗っていたのは快速急行でした。快速急行となると次に止まるのは大阪の鶴橋駅となり、五位堂駅からの所要時間は、、、、、24分。
ケアレスミス×ケアレスミス=絶望
10分ならなんとかなると思っていたところに、倍以上の時間を耐えなければならないと知って、愕然としました。
しかし車内の他の乗客を、おっさんの体の不具合で台無しにするわけにはいかない。
なんてことを考えている余裕など正直ありませんでした。
電車で腹痛に襲われたとき、他人に思いを馳せることなんてできる人がいるのですかね?
ただ、ここで僕のお腹がピークを越え、全てを諦めてしまったら? 電車という密室で「もういいや」ってなってしまったら社会人としての僕は完全に終わってしまうのです。
周りへの迷惑ももちろんあるのですが、そのときの僕の心は「恥をかきたくない」一心でした。
ギュルルルルッ!
第2波が来た。
鈍い痛みが下腹部を襲ってくる。その度に体内から「早く出せ」と信号が送られる。
「まだだ。まだいけるはずだ」
とりあえず今できることは何かを考えよう。
- どこかの車両にあるトイレを探す
- スマホで今すぐ下痢が止まる方法を探す
- お腹を温める
- 祈る
まずは「電車のトイレを探す」。電車にはトイレが付いてますよね。全ての電車に付いているかはわかりませんが、8両編成とかだったらかなりの確率であると思います。トイレに辿り着ければ僕が抱えているシリアスな問題はすぐに解決できるのです。
しかし、周りを見渡してもどこにトイレがあるかはわかりませんでした。もしかしたらどこかに表示があるのかもしれませんが、腹痛に耐えているときに外部からの情報を正しく処理するのは難しいです。
あと、僕が乗っているのは平日の朝の8時台の電車。サラリーマン達がこぞって乗り込む快速急行ともなると、満員も満員で場所を移動するのはなかなか厳しいのです。
体内に時限爆弾を抱えながら人を押しのけて移動するのは、トイレの場所がわからない以上あまりにもリスキーだと感じました。
電車の中で腹痛と戦っている最中に移動するのは危険。ましてやラッシュ時は車両移動が難しい。電車のトイレの位置は乗車前に確認しておこう
トイレを探すことを断念した僕は「スマホで今すぐ下痢が止まる方法」を探すことに。「下痢 すぐ止める」などで検索しました。
出てきたのは下痢に効くツボであったり、お薬の情報でした。薬は持っていないし、ツボは一応効くかもしれないと思いましたが、スマホの文章を読む余裕がありませんでした。
そもそもすでに下痢を止めるとか止めないとかの状況ではなかったので、ツボを押したところで効くのかも今考えると疑問です。
「ヤバい、もう出るかもしれない!こんなときはツボを押すんだ!そうすればみるみる便意がおさまるんだ!」ってなりますか?
もしおさまるんだったら数多の大人達が便意に破れていったのはなぜなのですか?
大人はすべからく便意に対して目測を見誤りがちなんでしょうね。
電車の中で腹痛と戦っている最中は、スマホで情報を取得するのは困難。事前に確認しておこう
トイレを探すこともスマホで有益情報を得ることも不可能だと悟った僕は「お腹を温める」という腹痛に対してもっとも基礎的で今までの経験上、最も効果がある手段に出ました。
嘘です。むしろ最初からやっていました。
季節は夏ですが車内はクーラーが効いていてひんやりとしています。普段であればクーラーがフル稼働でも暑いと感じるものなのですが、体調が悪いと寒いと感じるのです。
僕の服装は半袖のポロシャツに下はデニムです。その日はお客さまに会う予定もなかったので割とラフな格好でした。
お腹を温めるのは簡単で自分の手でお腹をさすればいいだけです。
けれども急に苦悶に顔をゆがめているおっさんが、お腹をさすりだしたら周りの人はどう思います?
もしかしたら周囲の人に僕の状況を察知されて、その場に変な緊張感が漂うことになるかもしれません。それだけは絶対に嫌でした。
できるだけスマートに、なるべく周囲を巻き込まないようにしたい!
僕はお腹を撫でるのを諦めました。しかし、なるべく風が当たらないように持っていたトートバッグをお腹に抱え、クーラーの風がお腹に当たらないようにしました。それだけでも幾分かマシでした。
事前に電車でスマートにお腹を温める対策をしておこう。
とにかく、駅に着いたらトイレに行くことが最優先です。トイレに行くと、間違いなく会社には遅刻するから連絡をしておかなければいけません。
ということで上司に連絡することにしました。会社に電話したところで誰もまだ出社していない時間だし、電車内なのでLINEで連絡しました。
上司は間違いなく的確な答えを伝えてますが、その時の僕は「神に祈りを捧げたら大丈夫!!」の一文に怒りを覚えていました。
電車内での極限の腹痛は人間を狂わせるんですね。
とにかく連絡はしました。
あとは駅まで僕の体がもつかどうか!
電車内で腹痛になった最後にできること
電車は五位堂駅を出てから10分ほど経った時でした。
「あと10数分耐えれば希望が見えてくる。大丈夫だ。この調子だったらなんとか耐えられる」
と、考えていたら第3波が来ちゃいました。
ギュルルルルルルルル…グゥーゥゥゥウウウ
絶対、周りにも聞こえてる!
恥ずかしくて普段なら泣きそうなところですがそれどころではありませんでした。
これはあかん!くっ…やばいやばいやばいやばい…〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!!!!
僕はおもむろに足を交差させてました。
軸足の外側へ足を交差させるような、洒落た交差のさせ方ではありません。
体内に溜まっていっているものが括約筋を超え出てきたとしても、お尻の肉で、太ももで遮断するといった交差です。
バッグを抱える腕はギュッと力が入り目を閉じ、足には人生最大の力を込め交差する。
もうそれしかできない。他に何かできることがあるのか?
?
??
!!!
「祈ること」でした。
もう僕には祈ることしかできませんでした。
人間できることがなくなると祈りを捧げるしかないのです。
足とお尻を最大の力で締めて祈りを捧げると効果的
神様、お願いします。僕を生かしてください。なんでもします。このまま生き残れたら本当になんでもします。だから、どうかあと10分ほど耐えられるように、お願いします。
祈りが通じたのかなんとか、本当になんとか第3波もかわせたのです。
しかし、まだ終わったわけではありません。電車が駅に到達するまで5分ほどあるのです。
もし、もう一度、第3波級の便意が来たら乗り越える術はありません。
第3波が終わってからも僕は体をこわばらせ、足を交差させて、考えうる対策をしてるのです。これ以上の奥の手がありません。
「もう一度、お腹が暴れ出したらもう勝てない」
だとしたら何を考える? 次の波が来る前に何ができる?
必死に考えた結果、僕は「もしも、漏らしたらどう切り抜けるか」を考え出しました。
- 何食わぬ顔で平然としておく
- 漏らすと同時に倒れて気絶する
- 周囲の人に事前通告した上で漏らす
何食わぬ顔で平然とできるわけがないし、周囲の人に自分の状況を伝えて回るのは、むしろ自分の限界を早めることになりますよね。
だから、僕は「漏らすと同時に倒れて気絶する」を選びました。
「それしかない。終わりを可能な限り美しくするにはそれがベストだ」と本気で思っていたようです。
もしもの時の終わらせ方を決めると、不思議なものでどこか悟りを開いたような境地になっりました。
「もういいや」という投げやりな気持ちと「全てを受け入れる」覚悟が前向きに混ぜ合わさったような不思議な気持ちでした。
「もし第4波がきたら負ける」
その事実が僕に覚悟を持たせたのです。
希望がみえてくるとお腹も暴れ出す
次の駅に着くまで10分を切っていました。
第3波を堪え切ってからは体内からの信号も穏やかで、もう堪えるための用意がなにもないので助かりました。
あれほど信号を送っていたお腹はなりを潜め、体内からの音よりも電車が動く音が耳に入るようになってました。
気づけばそのまま5分ほど経過していました。
「あと5分、あと5分だ!」
希望が見えてきたのですが、これがよろしくなかったのです。
明るい未来を想像した僕に呼応するかのように、体内からの信号が開始されたのです。
体内からの小さな信号はグルル〜と、まるでジャブのように小刻みにやってきます。
その度に交差した足にキュッっと力を入れ、いつくるかわからない右ストレートに備えました。
グルル〜
キュッ
グルル〜
キュッ
グルルルルル〜
キュ〜〜ッ
体内からの信号ひとつひとつを見逃さずに対応していると、「まもなく〜鶴橋です」とのアナウンスが聞こえました。
だけど安心してはいけません。
まだトイレにたどり着いてない段階で油断すると、体内にいる奴らはその隙を絶対に見逃しません。むしろ待ってましたとばかりにスプリント勝負を仕掛けてきます。
安堵しかけた心を僕は引き締めました。
そして、この時点で僕は重大な問題に気付きます。
普段降りない鶴橋駅ではトイレの場所がわからなかったのです。
最後のスプリント勝負
鶴橋駅は近鉄のほか、JR環状線、大阪メトロ千日前線が繋がっている電車移動の要所になってて、鶴橋駅で降りる人はかなりいます。
つまりホームで人がごった返すのです。
いつ爆発するかわからない爆弾を抱えて、どこにあるのかわからないトイレを探すのはかなりリスクが高くないですか?
トイレを探している最中に、最悪の結末を迎える事もありえますよね。
しかし、このまま電車に乗り、次の大阪上本町駅(終点)まで爆弾がもつのかもわかりません。
- 鶴橋駅で降りる → 駅にはすぐ着くがトイレの場所がわからない
- 大阪上本町で降りる → 一駅分、電車に乗ることになるがトイレの位置はわかる
悩んでいるうちに電車は鶴橋駅に。
さてどうする? ここで降りるか次の駅まで行くか?
正直どちらが正解かはわかりません。
僕は直感を信じることにしました。
「大阪上本町駅まで行こう」
鶴橋駅から大阪上本町駅までは2-3分でつく距離。もしかしたらもっと早いかもしれません。
お腹は通常とは程遠く、緊張を解けばその瞬間に今までの努力は水の泡です。
しかし、幸いなことに小康状態を保ってます。
大阪上本町駅へ向かうその時間は、かなり長く感じられました。
いくら心を無にしようとも気持ちが早ってるのです。
「大丈夫だ」と言い聞かす言葉の裏から「まだか?」という問いかけがセットでやってくる感じわかりますか?
もうすぐ大阪上本町駅に着くとアナウンスが流れました。
「これなら無事にトイレにたどり着けるかもしれない」
あとはトイレの個室が空いていることを願うばかり。
電車が止まり、ゆっくりと扉が開く。
鶴橋駅でかなりの人が降りたので車内の人はまばらでした。
第3波がきてからずっと同じポーズを取っていた僕は、扉が開いて近くの人たちが電車から降りたのを確認してから動きました。
僕が歩を進めるのと同時に僕の腸内も動き出しました。
ヤバい!!
が、ここはもう突っ切るしかない!
僕がトイレに座るのが先か、僕の内容物が体外への扉に手をかけるのが先かの最後のスプリント勝負。
トイレまでは50メートルほど。電車を降りるとまばらだと思っていた人が案外多く、改札へと向かう方向へちょっとした列ができていました。
そのペースに巻き込まれると僕は間違いなくこの勝負に負けてしまう。
意を決して人と人のスペースに飛び込んでいきました。
「見える!見えるぞ!」
集中力が極限まで研ぎ澄まされた結果、覇気にでも目覚めたのか、数秒後にできるであろうスペースがわかる。
トイレまでの道筋は見えた。あとは無事に体を持っていくだけだ。
お尻と太ももに極力振動を感じさせないように進む。
慌てず、でも急ぐ!
トイレはもうすぐそこ!
あと5メートル!
しかし便意も黙っていない!
トイレが近いことに気づかれた!
トイレに入っ、あ、漏れ…
早っ…ベルトっ
個室は空いてる
ドア、鍵っ〜!
っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
!!!!!!!!!!
セーーーーーフっっっ!!
ギリギリセーーーーーーーーフっ!!!
本当に何度もダメだと思いました。
本当に…
「ありがとう」…それしか言う言葉が見つからない…
フィクションだったら完璧なハッピーエンドです。
しかしこれはただの通勤途中。とりあえず現状を上司に報告しました。
まとめ:毎日電車通勤してる人はすごいと思う
お腹の調子が悪い時は電車に乗る前にトイレ行こう
電車に乗る際はトイレの位置を確認しておく
通勤ラッシュ時は身動きが取れないので、トイレ近くに乗車する
下痢止めなど薬を常備しておく
本当は余裕があれば、各駅停車の電車に乗ってのんびり通勤できるといいんですけどね。
あとは会社近くに引越しするかですね。
会社に勤めるなら家は近い方がいいですよ。それだけでかなり楽になります。
もしくは家の近くの会社、もしくは通勤ラッシュの電車に乗らないで良い勤務形態の会社に転職するかですね。
何はともあれ、通勤中にいつも思っていたのはサラリーマンってすごいなぁってこと。
僕は本当に通勤電車が呼吸もできなくなるほど苦痛だったので、毎日電車に乗って仕事に行く人たちを心の底から尊敬してました。
あんまり無理せず生きていきましょうね。
おしまい